プロジェクト
ー 目次 ー
進行中のプロジェクト
環境研究総合推進費
1-2401「世界を対象とした1.5℃気候安定化目標下の二酸化炭素除去の選択肢とその含意」(2024-2026)
本研究は、日本を含む世界を対象として長期気候安定化を目指す排出パス、それを実現するCDRの選択肢、及びその社会・経済・環境の含意を提示する。そのために各種CDR技術の導入量と共にエネルギーや土地利用などの社会・経済・環境に関わる指標を現状から2100年までの複数の定量的シナリオとして示す。
1-2202「アジア途上国における気候中立社会の実現に向けたロードマップの定量化に関する研究」(2022-2024)
本研究では、これまでに構築してきたアジア太平洋統合モデルを基礎として、アジア途上国向けの電源モデルや輸送量推計モデル、食料需要モデルを開発、精緻化し、消費行動や産業構造の変化を含む社会変容や負の排出技術の普及も含めてアジア途上国に適用することを目的とする。また、そうした個別の課題を踏まえ、気候中立社会の実現に向けたロードマップを、マクロな社会経済像やエネルギー需給の面から定量的に明らかにする。
科学研究費補助金
基盤B「世界モデルを用いた脱炭素と貧困・飢餓・エネルギー貧困撲滅の同時達成の可能性の検討」(2023-2026)
本研究はゼロエミッション目標と貧困・飢餓・エネルギー貧困撲滅を達成する道筋を示すことを目的とする。その具体像を示すために、全世界180か国の家庭の所得階層別・財別の消費量を金銭的・物的に表現できるモデルを開発する。
民間の助成金
旭硝子財団 ブループラネット地球環境特別研究助成「3 つのゼロ:飢餓ゼロ・炭素排出ゼロ・生物多様性損失ゼロへの道筋の提示」(2023-2026)
本研究では、気候変動と生物多様性損失の接点となる土地に焦点を当て、生物多様性保全策と気候変動抑制策の相互作用の解明と両問題の同時解決策の提示を目的とする。そのため、本研究では、今世紀を対象に「世界100 億人の食料需要(SDG2)を満たしながら生物多様性損失(SDG15)と気候変動(SDG13)を同時に解決した社会と環境の将来像を提示すること」を目標とする。
国際プロジェクト
AgMIP (THe Agricultural Model Intercomparison and Improvement Project)
IAMC (Integrated Assessment Modeling Consortium)
終了したプロジェクト
1-2101「世界全域を対象とした技術・経済・社会的な実現可能性を考慮した脱炭素社会への道筋に関する研究」 (2021-2023)
本研究は①革新的な統合評価モデルの開発・改良を行い、定量的なシナリオ分析を通じて技術的・経済的な実現可能性を評価する。統合評価モデルは、これまでIPCC、国際モデル比較研究等様々な場で使われてきたAIMモデルを基盤としつつ、新しいエネルギー・食料に関するモデル等をそこへ加える。特に、抽象的に扱ってきた技術種・部門分類・地域区分等の具体性・解像度を上げ、シナリオの実現可能性に迫る。そして、②その定量情報を基に社会的な実現可能性をステークホルダ会合等から明らかにする。③その結果を考慮し、革新的技術の導入・ライフスタイル変革や炭素税以外の様々な環境政策等を追加的な入力条件として、改良した統合評価モデルにて経済、排出量、エネルギー需給、食料消費等を定量化し、大規模GHG削減を実現する道筋を示す。
2-2104「脱炭素トランジション:イノベーションとライフスタイル変容の複数モデル評価」 (2021-2023)
本研究では日本の脱炭素トランジションに資するイノベーションとライフスタイル変容の役割について、複数モデルを用いた緩和シナリオ研究とトランジション研究の接合を行い、国内の環境政策および気候政策の議論に資する政策的知見を導出する。
2-2002「世界を対象としたネットゼロ排出達成のための気候緩和策及び持続可能な開発」 (2020-2022)
本研究では「人間社会・生態系の持続可能性を損ねない形でネットゼロ排出を達成するということは、どのような社会を作り、受け入れていくということなのか?」という問いへの答えを、気候政策、気候影響、持続可能性の相互依存関係を考慮した地球規模の持続可能性シナリオの構築を通じて描くことを全体目標として設定している。
基盤B「温室効果ガス排出削減が貧困にもたらす影響評価」 (H31-H34)
世界各国今後温室効果ガス(GHG)排出量の大幅な削減が求められる。本研究は2℃目標へ向かう低炭素社会と貧困の関係を定量的に明らかにすることを目的とする。それを実現するために、個別家計を対象にした調査データであるミクロデータから所得階層ごとの家計行動、具体的には家計所得、財・サービス別の家計消費を記述するモデルの開発を行い、所得階層別の低炭素政策の影響を解明し、低所得層向け政策を提案する。
住友財団 環境研究助成「アジアの社会構造転換が地球環境問題に及ぼす影響の定量分析手法の開発と応用 」(2019-2021)
本研究は「アジアを対象として2020年から2050年までの将来において、社会変革がもたらすエネルギー環境問題への影響」を明らかにする。影響として明らかとするのは本研究内で定量化可能かつSDGsと強く関連する以下のエネルギー・環境指標である。すなわち、飢餓・水逼迫・大気汚染由来の健康・エネルギー安全保障・廃棄物・気候・森林生態系である。それぞれ具体的な指標として扱うのは、飢餓リスク人口、水ストレス人口、大気汚染由来死亡者数、エネルギー多様性指標、食料廃棄物発生量、全球平均気温、生物多様性指標、森林火災面積である。この定量化作業には統合評価モデルと呼ばれる人間社会・環境システムを統合的に扱うシミュレーションモデルを用いる。統合評価モデルでは経済モデル、エネルギーシステムモデル、生物多様性評価モデル、水資源モデルなどのモデルを組み合わせ相互に情報交換を図ることで整合的なシナリオを描写する。
2-1908「 アジアにおける温室効果ガス排出削減の深掘りとその支援による日本への裨益に関する研究 」 (2019-2021)
本研究では、アジアの国々のうち、タイ、インドネシアなど2030年を対象としたNDCが自国の取り組みと国際支援による目標に分かれている国を中心に、排出削減の実現に必要な技術や制度について調査するとともに、当該国での削減ポテンシャルや経済的な波及効果について、国別のスナップショットツール、技術選択モデル、応用一般均衡モデルを用いて定量的に明らかにする。また、世界モデルから示される2/1.5℃目標を実現する排出経路に対応する各国の2050年に向けた削減についても明らかにする。なお、これらの国々ではエネルギー起源以外のGHG排出削減の取り組みも重視されており、廃棄物や土地利用変化などを起源とする対策も評価できるように新たなモジュールを開発、追加し、分析を行う。また、2/1.5℃目標を実現する上で鍵となる中国やインドなど国別GHG排出量が世界上位の国のほか、アジアの国々の多様さを評価するため、小国であっても可能な限り同様の分析を試みる。一方、国際的な支援を日本が行う場合、日本からの省エネ製品やインフラの輸出に加えて、各国で実現するGHG排出削減量をクレジットとして活用することも期待され、これらが日本の経済及び環境改善にもたらす裨益を、日本を対象とした応用一般均衡モデルを用いて明らかにする。さらに、各国におけるGHG排出削減効果などの結果を世界モデルに反映し、2/1.5℃目標の実現に向けたアジアや日本での取り組みが世界に及ぼす効果や影響を明らかにする。なお、各国を対象としたモデル改良や将来シナリオ作成のための基礎情報の収集、モデルを用いた計算結果の妥当性や政策の導入可能性の評価、2030年を対象とするNDCから2050年に向けた長期低炭素発展戦略への排出削減目標の整合性の評価については、各国の専門家と共同で行う。
S-14 「 気候変動の緩和策と適応策の統合的戦略研究 」 (H27-H31)
気候変動のメカニズム解明や、気候変動に関する国際連合枠組条約(UNFCCC)の第2条に書かれた「危険な人為的干渉とならない温室効果ガスの濃度水準」がどのくらいであるのか、さらには気候変動によってどのような影響が生じるかに関する研究が鋭意進められていますが、人類はそうした気候変動に対して常に無策であるわけではなく、気候変動が生じても持続可能な開発が担保されるような対策、いわゆる適応策の効果についても研究が進められています。
気候変動に関する政府間パネル(IPCC)でも第4次報告書以来、第2作業部会の評価報告書では緩和策と適応策とは気候変動対策における車の両輪である、と位置づけられていますが、つい最近まで両者は別の文脈で取り扱われることが多く、日本では適応策への取り組みが遅れていました。2013年になってようやく適応策に関する省庁横断的な取り組みが始まったところであり、両者の統合的な実施による効果的で効率的な気候変動対策の計画立案支援、ならびにカンクン合意に基づく発展途上国向けの気候変動適応計画の策定に関わる国際交渉に資する研究開発が期待されています。
緩和策と適応策の効果性や効率性を評価するための判断材料の一つとして、費用効果分析あるいは費用便益分析が必要です。緩和策、適応策に伴う便益には、例えば、防災整備などによるwell beingの向上や安心感の獲得など、従来の経済的指標では扱いきれない便益もあります。
そこで、本テーマは、被害額や投資額といった従来の経済的指標に加えて、主観的幸福度や生計資本といった指標なども勘案して多面的に評価し、緩和策と適応策の効率的で効果的な実施策に関する知見を提供します。
2-1702「パリ協定気候目標と持続可能開発目標の同時実現に向けた気候政策の統合分析」 (H29-H31)
パリ協定では全球気温上昇を工業化前比 2℃/1.5℃に抑制する気候目標が合意された。しかし、同目標 の達成に向けて必要な世界規模での気候政策(排出経路等)、及びそれに整合的な我が国の中長期の気 候政策についての包括的検討は足りていない。そこで本研究では、長期気候目標・持続可能開発目標の 同時実現に向けた世界規模及び我が国の気候政策の統合分析に取り組む。
若手B 「アジアの環境・エネルギー・食料に関連する持続可能な開発目標の定量化」 (H28-H30)
①本年国連で採択された持続可能な開発目標(SDGs)の実現においてアジアが達成すべき、環境・エネルギー・食料に関する数値目標を開発する、そして、②アジア諸国がとるべき政策オプション、求められるライフスタイルの変化を具体的かつ定量的に提示することを目的とする。環境保全と経済発展の両立はアジアの喫緊の課題である。SDGs に含まれる項目から環境・エネルギー・食料に関する指標(エネルギーアクセス率、飢餓人口など)を取り上げ、この実現において中長期的な将来(2030 年-2050 年)にこの指標が満たすべき数値(目標)を定量的に示す。さらに、現状政策下での将来を比較対象としてアジアの持続可能な発展に向かうためには、どのような政策、社会変革、ライフスタイル変化が求められるかについて提言する。
若手B 「極端現象による食料消費と飢餓リスクへの影響評価」 (H27-H29)
将来の気候変動による飢餓リスクへの影響は社会経済状況により大きく異なった。すなわち、分断された社会を表すシナリオでは飢餓リスクは現在より増加しより不確実なものとなるのに対し、なりゆきシナリオではリスクは継続的に減少し、不確実性は小さくなった。このような大きな不確実性のもとで対策を決めていくことが、政策決定者の課題となるだろう。また、100年に一度の極端現象下での必要な備蓄量を現在の備蓄と比較したところ、現在の世界の備蓄量は十分だが、影響を受ける地域では十分に備蓄されていなかった。これは、極端現象の発生時における食糧支援やそのための協力体制が飢餓リスクの軽減には重要であることを示唆している。
特別研究員奨励費 PD「農林畜産業に由来する温室効果ガス排出量とその削減ポテンシャルの将来推計」 (H23-H25)
- 共通社会経済シナリオ(SSP)を用いた飢餓リスクシナリオの開発
分野横断的な排出削減・影響評価を行うため, 国際的に共通社会経済シナリオ(Shared Socioeconomic Pathways, SSP)が開発されている。 SSPの定性的な社会像に整合する飢餓リスクおよび農業・土地利用変化に関する将来シナリオを開発し、 将来の飢餓リスクに影響をもたらす因子を明らかにした(Hasegawa et al., submitted)。 - 農業における適応策による食料消費と栄養不足への効果の評価
将来の気候変化が作物収量の低下を通じてもたらす、食料消費(消費カロリー)・栄養不足に影響を、農業における適応策によってどの程度軽減するかを解析した。このとき、気候モデルと将来の社会経済条件、温室効果ガス(GHG)排出シナリオによって生じる不確実性を明らかにした(Hasegawa et al., 2014)。 - 気候変化と緩和策による食料消費および栄養不足への影響評価
将来の気候変動問題は、気候変化の影響と緩和策という両面で農業・食料に影響をもたらす。気候変化とその緩和策の実施により生じる要因として、i)気候変化による作物収量の変化、ii)バイオエネルギーの導入による食料作物とエネルギー作物との土地の競合, iii)緩和策の実施によるマクロ経済の変化、が挙げられる。この3要因による食料消費と栄養不足への影響を定量化した(長谷川ら, 2013)。 - アジアを対象とした農業・土地利用に由来する温室効果ガスの排出量・削減量の将来推計アジア諸国を対象に農業・土地利用変化に由来するGHG排出削減量と対策による削減効果の推計を行った(Hasegawa and Matsuoka, in press)。
- 国際農業モデル比較プロジェクトAgMIPへの参加
AgMIPにこれまで開発してきた世界経済応用一般均衡モデルを用いて参加した。AgMIPでは9つの農業
特別研究員奨励費 DC1「非エネルギー部門における温室効果ガスの排出量とその削減ポテンシャルの将来推計」 (H20-H22)
①本年国連で採択された持続可能な開発目標(SDGs)の実現においてアジアが達成すべき、環境・エネルギー・食料に関する数値目標を開発する、そして、②アジア諸国がとるべき政策オプション、求められるライフスタイルの変化を具体的かつ定量的に提示することを目的とする。環境保全と経済発展の両立はアジアの喫緊の課題である。SDGs に含まれる項目から環境・エネルギー・食料に関する指標(エネルギーアクセス率、飢餓人口など)を取り上げ、この実現において中長期的な将来(2030 年-2050 年)にこの指標が満たすべき数値(目標)を定量的に示す。さらに、現状政策下での将来を比較対象としてアジアの持続可能な発展に向かうためには、どのような政策、社会変革、ライフスタイル変化が求められるかについて提言する。